| |
 |
|
 |
 |
 |
|
 |
 |
 |
 |
 |
 |
── これはね、もう一聴して「オールド・スクールな片寄明人!!」みたいな。
片寄 そうですねえ。こういうシャッフルの曲を書かせたら「日本でいちばん巧いんじゃないか?」みたいに思うんですけど(笑)。っていうか、あんまりこういう曲を書く人がいないだけか。独自なところに行っていると思うんですけどねえ、自分では。
── でも、メロディとかはあきらかにロッテンハッツのころよりもスキルが上がっている。この曲は、モナレコードでの弾き語りライヴ(註3)で、まだきちんと歌詞がついていないヴァージョンを披露しましたね。ものすごく印象に残っていて。
片寄 ああ、歌った歌った。こういうシャッフルの曲はすごい得意なんだけど、フィフス・アヴェニュー・バンドとか、バート・バカラックとか、ああいうのを聴いて得ているものを自分なりに消化してやったっていうか。
── これはすでにひとつのスタイルになってますもんね。
片寄 そうなんですよ。誰も指摘してくれないから自分でいうんですけど(笑)。Great 3だと「Oh Baby」とかも、自分の中で同じくくりなんだよね。ロッテンハッツのときの「Always」って曲に始まって。あとソロの「LOVE
NUGGET」もそうだね。こういう曲だったら1日に1曲でも書けるんだけど、あえて「おもしろくないな」ってやめてた時期もあったのね。でも今回は「そういうの1曲入れたいなあ」って。なんかソングライティングに行き詰まったときに得意なシャッフルの曲を書いてリフレッシュする、みたいなところがあるんだろうな。本当にオリジナルなスタイルだと自分では思うんだけどね。
註3:モナレコードでの弾き語りライヴ
2005年4月1日、東京・下北沢のカフェ/レコード店、モナレコードにて行なわれた、3組出演のアコースティック・ギター弾き語りのライヴ・イヴェント。他の出演者は、長田進、清水ひろたか。この夜の片寄は、Great
3のレパートリーに加え、未発表であるうえに、歌詞がついていない未完成のナンバーを演奏するという、前代未聞のユニークな試みを披露。ちなみに歌詞は、デタラメな英語で歌われていた。

── 「Kiss Me Black」は、ショコラの歌詞だけど、けっこうイメージが強烈だなあと思った。
片寄 すごく好きだよ。彼女は今回ね、アンデルセンの童話とか、子供向けに書かれたんだけど、実はダブル・ミーニングがあるようなものをいっぱい読んでたんだよね。
── そのダブル・ミーニングな部分に、ショコラは意識的に?
片寄 意識的な部分と無意識な部分の両方だね。あの子は基本的には、天使的なものが好きなんですよ。メンタリティもベーシックはそこにあるのね。すごく自然のものが好きだし、うそはつかないし……っていうような性格なんだけど。その反面、その性格と相容れない、こうドロドロとしたものにも興味をひかれているところがあるのね。「なぜ人は殺人を犯すのか?」とか、そういうようなことに異常に惹かれる自分っていうのがあるみたいで。その二面性……彼女自身にそういうところがあるとは思えないんだけど。ぼくはそういうところが表現の源になっているタイプなんだけど、彼女はちがうんだよね。それに惹かれている自分がいて、っていうのが歌詞にうまく出ている気がするんだけどな。
── たとえば歌詞にある“瞳が真っ黒すぎる”というイメージ。ようするに瞳孔が開いているっていう。
片寄 そうだねえ。ああ、なるほどね。
── ドラッグも連想させるし、あとベラドンナ。ああいう、きれいな花なのに猛毒があるみたいな。あと死んだ人もイメージさせるし。
片寄 (レイ)ハラカミさんが彼女と共作したときに、「ほんとに直感の人だなあ」っていうことをいっていて。ぼくはいっしょに住んでる
からあんまりわからなかったんだけど、いっしょに作業するとわかるよね。ほんとに全部、たぶん直感でいい当てちゃうというか。直感でいったことが、真理を突いちゃってるっていう。女性特有のメンタリティだよねえ。オレが考えに考えぬいてたどり着くところを、当てずっぽうなのかわからないけど、パッとひとことで当てちゃうみたいなところが、彼女にあるんですね。
── パッと聴きは可憐なんだけれど、そこか背徳的だったり、サイケデリックな匂いもあって。
片寄 たとえばディズニーもすごいサイケデリックだと思うし。だって“7人のこびと”とかさ。“7人のこびと”なんだよ! だって!!(笑) おまけに「“毒きのこ”って何?」みたいな。『不思議の国のアリス』もそうだし。トランプの兵隊とかだって、完全にサイケな思考じゃないですか。そういうところに無意識でナチュラルで行き着いちゃってる、彼女のすごさってあるんですよ。
これは曲もね、さっきのシャッフルとは別に、自分のスタイルとしてある独特なマイナー・キーの曲なんだよ。日本の歌謡曲ともちがうんだけど、Great 3でいうと「嫉妬」とかもそうだし「DAN
DAN DAN」もそうだよね。
── シャンソンじゃないけど、憂いを帯びてて。
片寄 独特の暗さがあって湿ってて。どっちかというとヨーロッパとかイギリス的な感覚だよね。彼女の音楽的嗜好もそういうところにあって、あんまりアメリカの音楽は好きじゃないんだよね。シカゴの連中も感性は純アメリカ人じゃないから。ヨーロッパで彼らの支持が高いっていうのも、そういうことだと思うし。ぼくの感性もそれに近いところがあるかもね。Great
3では圭がいちばんアメリカっぽいよね。それはほんとにあいつの魅力だと思うんだけど。
── ひょっとして、ファンの捉えている“シカゴ前/以降”っていう区別は……。
片寄 ああ、アメリカ的な! ドカーンとした感じね(笑)。スコーンと抜けた。
── そういう部分が影をひそめた印象を持ったのかもしれない。
片寄 そうかもしれない。Great 3の初期は、アメリカのオルナタティヴ・ロックがオモシロいな、と思ってて。ウィーザーとか出てきたとき、オレ大好きだったもん。
|
 |
 |
 |
|
 |
|
 |
 |
| |
 |
|
|