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── これも、オールドスクールな片寄明人スタイルかな。
片寄 この曲も弾き語りのライヴでやったと思う。書いたときは「Bee」みたいな曲だったんだよね。意外とあっさりしていたんだけど、これも鈴木くんがジェイムズ・ジェマーソンって感じでファンキーなベースラインをガシガシ弾きだしたから。で、坂田(学)くんと清水くん。ドラム、ベース、ギターだけで、キーボードもない。一発録りだから音スカスカでね。一瞬、音がなくなるほんの0.1秒間とかもあったりするぐらいのアレンジなんだけど。基本的にはソウル・ミュージックなんだけどね。わりと得意なタイプの曲かな。これはけっこう歌詞も好きだよ。
── この歌詞は、男が恋人を想うときの素直な気持ちが包み隠さずそのまんま出ているっていう。
片寄 うんうん。そうだね。ぼくひとりで書いてて、すごく男の子っぽい歌詞だね。

── 「虹と雨」と対称的に、こちらはショコラの歌詞で。
片寄 これは、ショコラなりの篠原に捧げた曲なんだよ。「Nostalgia」がぼくのヴァージョンだとすれば、これは彼女のヴァージョンなんだよね。
── なるほど。ああ、そうだったんだ。インタヴューの準備にあたって、今ひとつ自分の中で整理ができていなかった曲だったので。
片寄 彼女なりの表現なんだよね。だからすごくパーソナルな曲なんじゃないかな。

片寄 この曲はね、当初は入れるつもりがなかったの。
── これって、歌詞の主人公は、ずばり片寄明人っていう。
片寄 いちおう男と女とふたりの主人公がいるんだけど、まあ、どっちもぼくだよね。こういう曲を最近書いてなかったから……曲にしても歌詞にしても「Sampedoro
Gold」とか、自分の中ではこれに近いんだよね。手法をとっても、いいたいことをとっても。勢いで書いちゃったんだけど。
── 曲調は、まずトッド・ラングレンを連想したな。
片寄 でもね、コード進行はね、ニック・ロウの「恋するふたり(Cruel to Be Kind)」。そのまま歌えるよ(笑)。今回はドラマーが3人いるんだけど……あらき(ゆうこ)さんと坂田くんと、栗原(務)くんと。でね、栗原くんのことはまったく知らなくて、レコーディングの直前に共通の友達に紹介してもらって会って。彼のドラミングにひと目惚れしちゃって。誘ったら、家が近いのよ。で、レコーディングの間もしょっちゅう呼んでもいないのに遊びに来て、ビール飲んでるわけですよ。
── かなり豪快な感じの人ですよね。
片寄 豪快なんですよ。デモテープを聴かせたら、オレはこの曲やるつもりなかったんだけど、栗原くんが「オレにやらせろ」っていってきかなかったのね。で、わりとすごいポップな曲だったから、「アイドルにでも提供して、歌ってもらえたらいいな」とか思ってたんだよ。だけど栗原くんは「自分が叩いたら、ふたりにぴったりなふうにできるから」ってあまりにいい張るんで、「じゃあやってみようか」ってやったんだけど。もう独自のドライヴ感だよね!
── 疾走感が歌詞の面でも非常に重要なところだから。「Walking In The Park」の〈なんてことのない喜び〉ってものを実感しつつも、
片寄くんの中に根本的にあるものが、〈ビートは止まらない〉っていういちばん最後のラインに集約されている。
片寄 ダサい言葉なんだけどね。〈ビートは止まらない〉ってね。
── たしかにそうは思うけど。
片寄 そこでしか表現できない、っていうところなんだよねえ。
── 『Chocolat & Akito』のプロモーション用に片寄くんが書いたコメントがあるけど、その終わりに“「きっと死ぬまでギリギリ」な人たち”というフレーズがあって。
片寄 「STAR TOURS」(笑)。
── まさに(笑)。その人たちのためのテーマ曲って気がしますね。もちろんぼくも含めて。
片寄 「そう思ってくれるといいかな」とは思っているんだけど、わりとまだこの曲に関しては冷静に聴けないところがあって。でも、「気に入ってくれる人がいたらいいな」とは思うんだけど。
── Great 3でいえば「Sad Dancer」とかにも通じる内容ですね。
片寄 ああ。「Sad Dancer」もちょっと似てるね。
── あと「日陰」とか。こういう題材は、Graet 3で表現するとダウナーな感じになるけど……。
片寄 ドロッとするよね。
── それをくるっと反転させたような。
片寄 それはいわれて初めて思ったけど、近いかもしれない。自分の中では昔から持っている映像的な歌詞のひとつなんだけど、こういうのって書いているときは自分でもよくわかんなかったりするんだよね。2〜3年してからわかる、みたいな。「Under
The Dog」とかもそうなんだけど。
── 散文詩的というか、イメージがどんどん重なり合っていって……。うん、Great 3のファンならば、いうまでもないって感じかな。
片寄 これはでも、リトル・クリーチャーズのリズム隊のすごさを感じさせられたね。Great 3の賢ちゃんと圭も独自のドライヴ感をもっているんだけど、クリーチャーズのふたりも「やっぱり、こいつらバンドなんだなあ」って思ったよ。普通は合わせられないところに合わせていくし。ウッドベースだからね、このスピードで!
── このアルバムでも重要な曲かな。
片寄 うん、そうかもね。録っているとき、「おお、こんなになるんだ!」っていうふうに思わされた、いちばんの曲でもあったかな。
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