── そして最後の「Time」。これは映画のエンドロールみたいな感じがして。

片寄 それはショコラもいっていたね。彼女の好きな映画でね、『ペイネ 愛の世界旅行』って知ってる? そのテーマ曲を(エンニオ・)モリコーネがやっていて、むちゃくちゃよくてオレは大好きなんだけど。その映画は、ふたりの恋人たちが世界じゅうを旅するっていう、まあメルヘンチックなもので。たぶん戦争で死んじゃったふたりが天国に行って世界を回るっていう、じつはダークなストーリーだって僕は解釈してるんだけど。60年代のいい意味でピュアな、戦争反対みたいな感じで花がいっぱい落ちてきちゃったりして。で、最後のオチが「夢でごめんなさい」って、天使が出てきて。「ああ、この終わり方は……」みたいな(笑)。「ナイーヴだなあ」とか思っちゃうんだけど。彼女はその「夢でごめんなさい」感があるっていってた(笑)。ぼくはこの曲、すごい好きで。自分の代表作のひとつになりうる曲だと思ってる。

── ぼくはとてもいいラヴ・ソングだと思った。なんとなく「こういうラヴ・ソングをみんなが歌ったらいいのになあ」とか、そんなことを思ったりして。

片寄 ああ。これはそういう意味では、ぼくが初めて素直に書いたラヴ・ソングなんですよ。この曲を最後にもってこようと思ってたし。歌詞が後半に向けて「Nostalgia」級にどんどんストレ―トになってくるんだけど。あの弾き語りライヴのときもやったんだよね。でも、あまりに転調が激しすぎて自分で歌えなくなって(笑)。

── あ、途中でやめちゃったやつだ。メロディがトリッキーですもんねえ。

片寄 そうなんだけど、これはわりと素直にメロディが出てきたんだよね。でも鈴木くんや清水くんとかには「あり得ない」っていわれて(笑)。仮のタイトルが「変な曲」だったぐらい、楽理的にはおかしい曲なんだって。よくわかんないけど。

── 複雑なメロディが、突然安定したりとか。

片寄 そうだね。だからたぶん、ロバート・ワイアットとかを聴いて学んでいった感覚が独自に……ソウル・ミュージックに入り込んじゃったみたいなさ。あたま打ちのリズムにしていくところからモータウン的な雰囲気があるんだけど、そのすべてが混ざり合って、そうとうオリジナルなものになってると思うんだけどね。また鈴木くんのミニムーグとかも異様っていうかさ、すごく好きだよ。

── 歌詞は、これも「Fly」と同じような……。

片寄 うん。“人生折り返した感”あります!……正直いって。35を過ぎたからなのかもしれないけど。今、日本の平均寿命ってだいたい80歳とか?……ってことを考えると折り返し地点は40なのかとも思うんだけど。でもなんか「折り返したのかなあ」って感じはあって。その感じは出してるよねえ。毎日一歩づつ死に近づいてる実感がある。で、やっぱり恐ろしいぐらいにね、1年が早いんですよ。

── 早い!

片寄 早いよね、やっぱりねえ(笑)。12歳から16歳までの4年間と、今の32から36までの4年間って、比べものにならないぐらいまで加速度がついてて。この先は、もっと滝みたいに速くなっていくらしいんだよね。恐ろしいよね、ほんとにね。