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── 片寄くんは、このところプロデューサーとしても活躍しているけど。
片寄 うん。去年はそういう意味ではプロデュース・ワークに徹した1年だったね。
── フジファブリックにかなり関わっていて、あとザマギのシングルも手がけて。
片寄 すごくね、好きな仕事なんですよ。で、プロデューサーっていくつかのタイプがあると思うんだけど、僕はトッド・ラングレン型じゃないことはたしかなんだよね。
── プロデューサーのタイプで自己分析すると?
片寄 トッド・ラングレン・タイプっていうのは、“何をやってもトッド・ラングレン”になっちゃうっていう。あとエンジニア・タイプのプロデューサーもいるんだよね。ジョンが完全にそうだね。エンジニアリングで自分の色を出していく。で、ぼくはもっとコラボレイター的なタイプ。やっていることは全然ちがうんだけどブライアン・イーノとかのほうが近いと思うね。
── バンドのもうひとりのメンバーになってしまう……。
片寄 で、新しい視点やアイディアを持ってくる。自分のフィルターをとおして、納得できるものを作れば、最終的にそれがクォリティの高いものになるっていう自信だけはあるから。そのバンドとかミュージシャンが求めているものを具体化する、っていうのが自分のベイシックなスタイルなのね。
── 自分で、プロデューサーに向いていると思います?
片寄 思いますねえ(笑)。やっぱり好きだから。好きだってことは向いてるっていうことかな、と。あと、レコーディングの現場っていうのは、とかくギスギスしがちなんだけど、ぼくはそういうのはいやなのね、プロデューサーとしては。クリエイターとしては、むちゃくちゃギスギスするタイプなんだけど。だからこそ、「こんなプロデューサーがいたらいいな」っていうのがあって。だからぼくがいっしょにやった現場って、みんなが楽しかったと思うし。その楽しい中で、どれだけクォリティのあるものを引き出せるか、っていうのが自分のすべてだと思っているから。あとはもう“耳”だよね。どれが最高のテイクなのかを、聴き分ける直感。最良の瞬間を切りとるっていうね。
── その経験は、今後のGreat 3にフィードバックすると思う?
片寄 すると思う。してもらわないと困るよね、やっぱり。
というか、人をプロデュースすることによって、自分の弱みもわかったね。
── 客観性が出てきた。
片寄 あと、Great 3には商業的に失敗した瞬間っていうのがいくつかあったんだけど、それはなぜか?……クオリティ的にはどのアルバムも水準を満たしていると思うんだけど。
── ああ、そういうことが!
片寄 人をプロデュースすることでわかった(笑)。
── それはオモシロい。ひとつだけ具体例をあげてください。
片寄 うーん、やっぱり“わかりづらい”よね。
── あはは!(笑)
片寄 (笑)Great 3って、非常にわかりづらいと思う! だからこれを読んでくれているファンの人たちっていうのは、むちゃくちゃユニークなんですよ。で、それを楽しめる度量を持っていてくれているんだけど、そういう人たちって世の中にはそうはいないんだよね。みんなもっとわかりやすいものが好きだし。こういういい方をすると語弊があるかもしれないけど、そこまで理解してくれる人は少ない。頭はそん
なによくない!
── でも次のGreat 3がわかりやすくなるともかぎらない?
片寄 かぎらないね(笑)。今回の『Chocolat & Akito』は、そういう意味でのわかりやすさはあると思うんだよね。でも、Great
3もそういうヴィジョンっていうのが、なんとなく見えかかってきてるんだよ。で、賢一のLAS VEGASとか、圭のソロ・プロジェクトやHONESTYだったり、そういうものが出ていくことによって、またいろいろ状況も変わってくるだろうし。それを集約したところで、うん、「Great
3を一回きちんとプロデュースしてみたいなあ」っていう気持ちはあるね。プロデューサーとしては、もちろんクォリティが第一なんだけど、結果としてセールスに結びついてこそ成功だとも思っていて。それをGreat
3に当てはめていくと、この年齢のこの男の子3人組っていうのは、なかなかオモシロい素材ではあるなあ、と思うんだけどね(笑)……そういう冷静な自分と、作り手としてまったくコントロールできない自分っていうのが共存しているから。自分でやるものに関しては、常にそこの闘いなんだけどね。
── 結局はそんなに変わってないのかな。
片寄 そうかもね。年をとっていろいろわかるようになっただけっていう。ファースト・アルバム(『Richmondo High』)のときも、自分ではむちゃくちゃプロデュースしているつもりでいたからね。実際、やりたいことがはっきりしていたから、すごくコンセプチュアルだったと思うし。今回の『Chocolat & Akito』も最初からしっかりヴィジョンが自分の中にあったし。次のGreat
3も、そうじゃなかったら意味ないと思うし。じゃなければ、永遠にレコーディングは始まらないんじゃない? 先に契約でもして、大量にお金とかもくれるんだったら、話は別ですけど(笑)。お金じゃないところでGreat
3は大切なものになっているからね。なんていうか、ようやくそういうところに持っていけたような気がするんだよ。Chocolat & Akitoもそうだね。自分でやる音楽を、お金じゃないところに持っていけたっていうのが、この1年の成果だと思うし。そのためには他の仕事をしててもいいのかな、っていう自分もいる。Great
3を10年やっていく中で、出したくないのに出していた時期も、後悔している曲もあったりするけど、総じてそういう意味では誠実にやってきたバンドだって自負はあるよ。
── やっぱりそこは、Great 3のいいところだと思う。
片寄 今回もすばらしいミュージシャンが集まってくれてレコーディングしたけど、圭と賢一とオレが3人集まったときの「揃ったなーっ!」って感じがさ(笑)。その“揃った感”っていうのが大好きで。その気配っていうのかな、雰囲気っていうのかなあ。いいバンドって、それがあると思うんだよね。それは無くしたくないと思ってるから。やっぱり自分でファンなんだよ、Great
3のね。ちょっと「バカだなあ」って笑われるかもしれないけど。この先どういうかたちで活動していくかわからないけど、次に動きだしたときは、このホームページももっとダイレクトに発信していく感じにしたいな。そうあるべきだと思うし。ま、それで食べていけたらうれしいし、食べていけなかったら、他の仕事をしてでもやっていくよ。そのぐらいの気持ちでいるけどね。
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