2005/9/7 ビクター・僕がこの曲を書いたのは1993年、当時Rotten Hats というバンドのメンバーとして、ラスト・アルバムをレコーディングし終えたばかりだったと思います。
僕らが契約していたキューン・ソニー・レーベルに所属していた唯一のアイドル、Qlairからの楽曲依頼ということで、僕はとても張り切っていました。
大滝詠一さんや細野晴臣さんら才能溢れるミュージシャンが松田聖子を始めとするアイドルに素晴らしい楽曲を提供し、それを何も知らない子供達が口ずさむ、そんな幸福な時代に育った僕は「アイドルに曲を書く」ということに無邪気な憧れと幻想があったのかもしれません。
担当スタッフはRottn Hats の「No Regrets」(後にショコラが1stアルバムでカヴァーしてくれた。僕とエルマロの柚木さんでプロデュースした彼女のヴァージョンが僕はとても気に入っている)を聴いて発注してくれたこともあって、僕がギター1本で書いたデモは「No
Regrets」に通じるバート・バカラック風なものでした。
その楽曲をアレンジしてくれたのはRotten Hatsのプロデューサーでもあった佐橋佳幸さん。
「フィル・スペクター風の音像を創るロイ・ウッドみたいなサウンドを打ち込みで再現しよう」と話したミーティングのとおり、ロイ・ウッドやブライアン・ウイルソンを思わせる素晴らしいオケが完成、歌入れを楽しみに待っていた僕のもとに届いたのは突然のQlair解散のニュースでした。
結局そのまま僕が書いた曲は歌入れされることなく永い眠りについてしまったのです。
Qlairは今回のベスト・アルバムを聴いてもわかるように、非常に音楽性の高い、当時のアイドルとしては全くもって異色な存在だったのでしょう。
たまにレコード会社で顔を合わせる彼女たちの素顔も、とても聡明な少女たちで、そういった面からもいわゆるアイドルとは一線を画していたのかもしれません。
今回のベスト・アルバムのために行方知らずとなっていたマスター・テープを発見してくれた当時の担当プロデューサー篠崎女史の尽力で実現した12年ぶりの歌入れ。
スタジオに集まってくれた3人の昔と全く変わらない歌声と容姿には驚かされるばかりでした。
そして12年ぶりに聴き返した楽曲は、もしかすると今の自分にはもう書くことが出来ないかもしれない純粋さに溢れたメロディーを持っていて、くすぐったい気持とともに、ちょっとだけ自分でも感動してしまったのでした。
この曲を喜んで聴いてくれる人たちとQlairの3人に心から感謝を捧げたいと思います。
どうもありがとう。
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