遂にGREAT3、9年振りの新作アルバムが完成しました。
2ヶ月前には無言でカレンダーを睨みながら「10月には仕上がっているなんて…あり得ない。。」と心の中で弱音を吐きたくなるほど時間的、精神的に追い詰められながら、この夏のすべてを捧げた制作でしたが、見事「GREAT3」というセルフタイトルに相応しいアルバムが出来上がったと思います。新加入したjanが持ち込んだ新たな刺激と前向きな力は常に僕と白根賢一を励ましてくれました。3人の力が絡み合い、溶け合った結晶のアルバム「GREAT3」、11/21のリリースを楽しみにしていてください。

そしてアルバムからTOWER RECORDS限定シングルとして「彼岸」が先行リリースされることとなりました。
作曲を白根賢一、作詞を僕が担当したこの「彼岸」、サウンドも歌詞も新作の中では最も捻らずにストレートな仕上がりとなった楽曲です。
それ故に僕らはこの曲をシングルとしてリリースすることをまったく念頭に置かず、むしろ「彼岸」よりもっと歪んだ世界を描いた楽曲をシングル候補として当初準備を進めていました。
しかし共同プロデュースを手がけてくれた長田進さんからギリギリのタイミングでこんな内容のメールが突然全員宛に届いたのです。
「歌入れをした「彼岸」を聴いて、特に詩の部分においてただのラブソングを超えた大きなメッセージ性を持っていると感じました。そしてこれは今こそ届けなければいけないのものではないかと思いました。この曲には心震えるものがあります。シングルとして強く推したいです。」

「彼岸」の直接的なテーマは、結果的に活動休止タイミングと重なってしまったデビュー前からのGREAT3マネージャー突然の逝去から始まり、この約7年間に両手では数え切れないほど自分の身に起きた、大切な友人達との別れです。
そしてそのいくつかの哀しみは白根賢一とも共有してきたものでした。ラブソングと言っても、この世を去っていった人達へのラブソングです。
こういった繊細なテーマを曲として描くことに躊躇がないと言えば嘘になります。僕の中では未だに答えが出ていません。
しかしながらこの数年間、「生死」の観点から様々なことを考えざるを得なかった自分には、GREAT3として活動を再開するに際して絶対に避けることの出来ない大きなテーマのひとつであったことも確かです。
歌詞を書き上げたものの、題名を決めることが出来なかった自分に「彼岸」という言葉を贈ってくれたのは白根賢一でした。
そしてメンバー全員が長田さんの意見を受け、この曲をシングルとしてリリースする決断をしました。

いつになくまっすぐに言葉を紡ぎ、歌った結果、僕はまだ冷静に距離を保って「彼岸」と向き合うことすら出来ない状況です。
これ以上、この曲に対しての言葉はありません。
初めてデモを聴いた時、言葉を失ったほど美しく哀しい白根賢一のメロディーと共に、聴いてくれた皆様にすべてを委ねたい気持ちです。

そしてカップリングにはjanがベーシストとして加入しての初ライブ、8/1 O-Nest公演の音源から4曲を1トラックにまとめて収録しています。
急遽リリースが決まったシングルでしたが、カップリングに何か特別な音を…と思い、手元にあった音源をマスタリングスタジオへ持ち込んでみたものの、まったく発売を考えずただライブハウスで記録用に収録してもらった音源だったため、音質はブートレグ並のクオリティ、さらにはメンバー3人だけで僅かな時間のリハーサルこそしたものの、長田さんはリハすらしないまま飛び入り参加、初ライブだったjanはあまりの緊張と会場の熱気にまともに指も動かないような状況、僕と賢一はただただ猛烈な興奮状態…という何が何やら、笑ってしまうような荒々しい出来でした。しかしここには活動再開における、僕らと集まってくれた皆さんの喜びと熱が詰まっていることだけは確かです。新生GREAT3としての初ライブ音源、どうか御笑納頂けたら幸いです。

8/1のライブから夏フェスやイベントを経て、急激にGREAT3のライブは進化しています。是非見届けにライブ会場まで足を運んで頂けると嬉しいです。
そして今の僕らに出来るすべてを注ぎ込んだ新作「GREAT3」。期待してもらって間違いない出来だと思います。リリースまであと1ヶ月、どうぞお楽しみに。
今後ともGREAT3をどうぞよろしくお願いいたします!

2012.10.19 GREAT3 片寄明人